楽曲の広がりを測る上で、ストリーミングと双璧をなす指標がカラオケです。主要カラオケ機器におけるミセスカラオケ人気ランキングを調査すると、一般的なポップスとは明らかに異なる歪な現象が観測されます。
DAMおよびJOYSOUNDのランキングでは、「点描の唄」「ライラック」「青と夏」「ケセラセラ」が常にトップ上位にランクインしています。特筆すべきは、これらの楽曲がいずれも成人男性の平均声域を遥かに凌駕するハイトーン(最高音がhihiA〜hihiCに到達する箇所も多数)と、息継ぎの隙間を削ぎ落とした高難度ブレスコントロールを要求する点です。
大手カラオケボックス店長への取材では、次のような生々しい証言が得られました。
「高校生や大学生グループだけでなく、30代・40代のビジネスパーソンまで、ミセスの曲に挑戦する姿が日常茶飯事です。決して『簡単に気持ちよく歌える』わけではないのに、あの超高音のファルセットやミックスボイスを歌いこなしたいという“挑戦欲”を強烈に刺激するようです。一種のアスリート競技に近い熱気を感じます」
SNSやネット上の掲示板(5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋など)におけるネットの反応と評判をリサーチしても、「難しすぎるのに練習を止められない」「大森元貴のキーのまま歌えたときの達成感が半端ない」といった声が溢れています。この「歌唱難易度の高さ」そのものが、若者世代の間でコンテンツ化し、歌ってみた動画やショート動画のバズを誘発する強力な起爆剤となっている構図が浮き彫りになります。
また、古参ファンによるミセスグリーンアップル代表曲一覧の議論では、シングル表題曲のみならず、初期の名曲「我侭姫」「Speaking」「VIP」、さらにはフェーズ2のディープな世界観を象徴する「Loneliness」「絶世生物」といった楽曲が高頻度で挙げられます。「キラキラした表層だけを見てミセスを判断するのは勿体ない。裏にある狂気や毒っ気こそが彼らの真髄」という熱い言説は、ファンダムの結束力をより強固なものにしています。