国定公園の豊かな自然に包まれたこの地は、古くから修験道の修練場として人々の信仰を集めてきた。奈良時代、修験道の開祖とされる役小角が開創に関わったと伝えられる歴史は伊達ではない。四季折々の表情を見せる山肌は、春の桜、新緑、そして秋の紅葉と、訪れる季節ごとに異なる壮大な色彩を織りなす。
平安時代初期、第六代座主の行巡上人が清和天皇の病気平癒を祈願し、見事にこれを成就させたことから「王に勝った寺」として「勝王寺」の寺号を賜った。しかし、朝廷への畏れ多さから「王」の字を「尾」に替え、現在の勝尾寺と称するようになったという歴史的経緯が存在する。以来、高野山真言宗の重要な拠点として、源頼朝や足利尊氏といった名だたる武将たちが戦勝祈願に訪れた記録が残る。
箕面国定公園のダイナミックな景観と融合した伽藍群は、単なる宗教施設にとどまらない。山腹に配置された建造物は、自然の地形を巧みに利用した立体的な空間構成を見せ、訪れる者を非日常の小宇宙へと誘う。