画面越しに数百万人の視線を奪うエンターテインメントの現場において、顔の「引っかかり」は時に完璧に整った顔立ち以上の価値を持つ。長年タレントの原石を発掘してきた芸能プロダクション業界のスカウト陣は、口元のほくろが持つ独特のアイデンティティを高く評価してきた。正統派の美しさにわずかな「崩し」や「色気」を加える触媒となるからだ。
その代表例が石原さとみだ。数々のヒット作で提示された彼女の圧倒的なヒロイン像、とりわけ伝説的ヒットを記録したドラマ『失恋ショコラティエ』で見せた小悪魔的な可憐さは、口元に集まる視線と豊かな唇の表情が決定的な役割を果たしていた。唇から口元への微細な視線誘導が、観客の胸を揺さぶる「あざと可愛さ」を完成させていたと言える。
また、アーティストの椎名林檎が示した美学も忘れてはならない。デビュー当時、彼女の口元に存在した印象的なほくろは、単なる身体的特徴を超えて、退廃的な美意識と唯一無二の存在感を象徴する視覚的アイコンとなった。均一化された美しさに対するアンチテーゼとして、口元のほくろが強烈な個性の証であることを証明した歴史的事例である。