現在でこそクマ科で確定しているジャイアントパンダですが、ここに辿り着くまでには100年を超えるパンダ科論争の経緯が存在します。形態観察を主としていた従来の解剖学では、パンダの身体的特徴があまりにも特殊だったためです。
当時、学者たちの意見は主に3つに割れていました。
1つ目は、頭骨の形状や消化器官の構造、そして竹を握るために手首の骨が進化した「第6の指(橈側種子骨)」がレッサーパンダと酷似している点に着目した「アライグマ科説」です。当時レッサーパンダはアライグマ科に近縁とされていたため、大型のパンダも同系統と考えられました。
2つ目は、全体的な体躯や骨格の重厚さからヒグマに近いとする「クマ科説」。そして3つ目は、どちらのグループにも完全に一致しない固有の生態を持つことから、独立した「パンダ科(Ailuropodidae)」を新設すべきだとする学説でした。博物館の展示や図鑑でも年代や国によって所属表記がバラバラという混迷の時代が長く続いたのです。