1990年代初頭、建築家・丹下健三の手によって誕生した第一本庁舎の重厚な姿は、今なお西新宿のランドマークとして君臨している。ゴシック大聖堂を思わせるツインタワーの意匠は、当時の日本の経済的繁栄を象徴するものだった。しかし、歴史の立役者となった新宿副都心開発事業の枠組みは、いま大きな転換期を迎えている。
築30年以上が経過した構造体は、単なる維持管理のフェーズを終え、最先端のスマートビルディングへと内部刷新が進む。竣工当時の設計思想を尊重しながらも、通信インフラの刷新や環境負荷の低減を図る工事が水面下で続けられてきた。高度経済成長期の遺産をいかにしてデジタル時代の要塞へとアップデートするか。それは、日本の近代建築史における新たな挑戦でもある。