「言っていることは100%正しい。でも、一緒に働くのが息苦しい」——。都内のIT企業で人事責任者を務める30代男性は、ある若手社員の事例を明かす。コンプライアンス遵守を徹底し、他部署の些細な手続き違反すら見逃さずに指摘し続けた結果、その社員の周りからは人が去り、チームの業務はかえって停滞したという。
組織における正義感の行使には、常に「文脈」と「情緒」への配慮が求められる。正論だけで殴りつける行為は、受け手にとってはハラスメントと同等の脅威となる。正しさだけを武器に突き進めば、周囲からは「融通が利かない」「自分勝手な正義の押し付け」とみなされ、孤独な孤島へと追い込まれていくのだ。