更科を訪れる前に知っておくべき最大の盲点は、「屋号の更科から白い更科蕎麦(御前そば)を連想してはいけない」という点です。一般的な蕎麦の分類における「更科」はソバの実の中心部を使った白く上品な蕎麦を指しますが、京町更科の冷やしたぬきは、力強い褐色の蕎麦とパンチの効いた濃口つゆが主役です。
遠方でなかなか岐阜へ足を運べないファンの間では、市販の調味料を用いた再現レシピの研究が盛んに行われています。現地の味に極限まで近づけるためのポイントは以下の通りです。
【家庭で挑む再現レシピの鉄則】
1. かえしの調合:濃口醤油(できればたまり醤油を少量ブレンド)、みりん、砂糖を「2:1:1」に近い比率で強めに甘辛く煮詰め、一晩寝かせて角を取る。
2. 出汁の濃度:厚削りのカツオ節とサバ節で濃厚な出汁を取り、濃いめのかえしと合わせて冷水でキンキンに冷やす。
3. 油揚げの仕込み:油抜きした刻み油揚げを、醤油・砂糖・出汁で煮汁がなくなる寸前まで甘辛く濃い味に煮含める。
4. 仕上げ:冷水でしっかりと締めた蕎麦に具材をのせ、つゆをぶっかけ、たっぷりの練りわさびを添えて一気にかき混ぜる。