『七ノ歌』の歌唱を耳にした際、まず圧倒されるのがその雅やかで重厚な言語感覚です。耳馴染みのない言葉選びや独自の当て字が随所に散りばめられており、文字を目で追うことで初めて理解できる仕掛けが無数に存在します。
曲の冒頭から響く「七つの門(ななつのもん)を開きて、宵の帳(とばり)に手向けん」というフレーズを皮切りに、物語は急速に深淵へと沈んでいきます。サビへと繋がる「泡沫(うたかた)の契り」「黄泉路(よみじ)の案内人(あないびと)」といった言い回しには、生と死の境界が曖昧になっていくような妖しい美しさが漂います。
特にリスナーの間で読み方が議論となったのが、中盤に登場する「七重霞(ななえがすみ)の奥、哭(な)く童(わらべ)」という一節です。「泣く」ではなく「哭く」の字が充てられている点に、単なる悲哀を超えた慟哭のニュアンスが込められていることが窺えます。ふりがなを意識しながら全体の言葉の響きを追うだけでも、作者の卓越した言語センスが鮮明に浮かび上がってきます。