歴史を紐解くと、静岡県と山梨県の間では「どちらの県から眺める姿が美しいか」「どちらが本家か」という熱い議論が長年戦わされてきた。駿河湾越しに富士を仰ぐ静岡と、富士五湖の景観を擁する山梨。互いの地域住民が抱く郷土の誇りは根強い。
かつては行政上の境界を確定させようとする議論もあったが、無用な対立を避けるため、両県は「境界を決めないまま共同で保護・管理する」という現実的な道を選択した。2013年にユネスコの世界文化遺産へ登録された際も、両自治体が一体となって環境保全と価値の発信に取り組んだ姿勢が世界的に高く評価されている。