サラブレッドとして円熟期を通り越し、高齢馬の領域に入ったディープボンド。ネット上や競馬サークルの間では、レースを迎えるたびに「今回がラストランではないか」という引退の噂が囁かれます。しかし、陣営から聞こえてくる声は、決して感傷に流されたものではありません。
大久保龍志調教師をはじめとする厩舎スタッフは、日々の調教後の息遣いや馬体の張り、そして脚元のケアを極めてシビアに観察しています。陣営の基本方針は一貫して「馬が走りたがっている限り、そして無事に競馬を終えられる状態にある限りは挑戦を続ける」というもの。単なる記録作りや興行のためではなく、アスリートとしての尊厳を保てるコンディションにあるかどうかが、すべての判断基準となっています。
気になる次走のローテーションについても、かつてのような過密日程は避け、間隔を十分に空けた長距離ステークスが選択肢に挙げられています。春の大目標である天皇賞(春)への再挑戦、あるいは適性を見極めた別定重賞など、ファンを沸かせるプランが水面下で練られていますが、陣営は常に「無事に牧場へ返すこと」を最優先事項として掲げています。引き際の決断は、一戦ごとの走りとレース後の回復力を見定めた上で、オーナーサイドとの綿密な対話によって下される見込みです。