巷でよく耳にする「母乳で育てた子は甘えん坊になりやすい」「自立が遅れる」といった噂ですが、発達心理学において授乳方法の違いが子どもの将来の性格を決定づけるという科学的根拠はありません。性格や気質は、遺伝的要因や生まれ持った脳の感受性、そして成長過程における親子の相互関係によって形成されます。
では、なぜ母乳で育った子は甘えん坊と言われやすいのでしょうか。その大きな理由の一つに、授乳スタイルの物理的な特徴が挙げられます。母乳授乳は直接肌を密着させる時間が長く、頻回授乳になりやすい傾向があります。そのため、母親の匂いや温もりを強く求める仕草が目立ちやすく、周囲から「甘えん坊」と映りやすい側面があるのです。
一方、粉ミルクであっても、抱っこして目を見つめながら授乳を行えば、愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌や愛着形成(アタッチメント)は十分に促されます。母乳かミルクかという手段そのものよりも、日々の関わりの中で子どもがどれだけ安心感を得られているかが、子どもの情緒の安定に直結しています。