閉所恐怖症を引き起こす最大の要因として、長らく「過去のトラウマ」が指摘されてきた。幼少期に押し入れに閉じ込められた記憶や、エレベーター事故での閉じ込め体験が潜在意識に強く刻まれ、類似の環境に直面した際に脳内で防衛アラームが鳴り響く。しかし、近年の脳画像解析技術の発達は、トラウマだけでは説明のつかない「脳の過剰反応」のメカニズムを次々と明らかにしつつある。
最新の研究によれば、空間認知を司る脳領域と、危機を感知する感情回路の「過敏な同調」が恐怖を増幅させているという。身体の周りにあるパーソナルスペースを脳が過大に認識すると、狭い空間に入った瞬間に「脱出不可能」という生存上の脅威信号を発してしまうのだ。これにより、身体は危機管理モードへ一気に切り替わり、冷や汗や動悸といった強い身体症状が引き起こされる。