一方で、住み替え先として検討する際に誰もが目にするネガティブな言説の背景には、現地を丹念に歩かなければ見えてこない構造的な課題が存在します。ネット上で「調布市に住んではいけない理由」として囁かれる主な要因は、以下の3点に集約されます。
第1の要因は、地下ホームの深さと朝の通勤ラッシュによる疲労感です。調布駅は地下2階(上りホーム)と地下3階(下りホーム)に分かれた重層構造を採用しています。改札階からホームまでの高低差が大きく、朝の混雑時にはエレベーターやエスカレーターに長い列が生じます。取材に応じた京王線通勤者は「改札を通ってから電車に乗り込むまで5分以上かかることも珍しくない。ダイヤ乱れが発生するとホームへの入場規制がかかり、地下特有の圧迫感に悩まされる」と生々しい実感を語ります。
第2の要因は、京王線の運行トラブル時における代替交通手段の少なさです。調布駅は京王電鉄の基幹駅でありながら、JRや東京メトロなどの他社路線が直接乗り入れていません。人身事故などで京王線が運転見合わせとなった場合、JR中央線の武蔵境駅や三鷹駅、小田急線の狛江駅方面へバスで迂回せざるを得ず、振替輸送時のバス停には長蛇の列が形成されることになります。
第3の要因が、調布市ハザードマップにおける冠水・浸水リスクです。市内南部を流れる多摩川、中央部を横断する野川周辺の低地部は、近年の激甚化する局地性豪雨において浸水想定区域に指定されているエリアが存在します。特にマイホーム購入を検討する層にとって、地形の高低差を理解せずに低地エリアを選択してしまい、後から水害への不安に苛まれるケースが「後悔」の引き金となっています。