人工膝関節置換術において、最も恐ろしい合併症の一つが人工関節周囲感染(SSI)です。人工物は生体組織と異なり白血球などの免疫機構が届きにくいため、一度細菌が付着するとバイオフィルムを形成し、抗生剤が効きにくくなります。最悪の場合、人工関節を一度取り出す再手術が必要となります。
術後数週間から数ヶ月、あるいは数年後であっても、以下のような感染症の兆候が見られた場合は、様子を見ずに直ちに執刀医を受診してください。
【危険な感染のサイン】
・傷口や膝全体が異常に赤く腫れ上がり、強い熱感がある
・傷口から黄色い膿や透明な浸出液が持続して出ている
・安静にしていてもズキズキとした強い痛みが日増しに強くなる
・原因不明の37.5度以上の発熱や寒気が続く
また、虫歯の治療や内視鏡検査、皮膚の化膿など、身体の他の部位で細菌感染が起きた際、血流を介して膝の人工関節に細菌が到達する「血行性感染」のリスクもあります。歯科治療や他科の処置を受ける際は、必ず「人工膝関節が入っている」旨を歯科医・医師に申告し、必要に応じて予防的抗生剤を処方してもらいましょう。