作中の舞台となる「東京中央銀行」は、旧産業中央銀行と旧東京第一銀行が合併して誕生した巨大メガバンクという設定です。この組織図の元ネタは、1990年代後半から2000年代前半にかけて吹き荒れた日本のメガバンク大再編の実情が色濃く反映されています。
具体的には、池井戸氏の出身母体である三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループの統合(現・三菱UFJ銀行)や、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行の3行統合によって誕生したみずほ銀行の歴史が巧みに織り交ぜられています。
作中で描かれる「旧産業中央派」と「旧東京第一派」による熾烈な派閥争いや人事ポストの奪い合いは、決して単なるフィクションではありません。当時のメガバンク統合期には、出身行ごとのたすき掛け人事や主導権争いが実際に繰り広げられており、小説『オレたちバブル入行組』に描かれた行内の空気感は、当時の金融業界の実態を極めてリアルに捉えています。