アシリパ変顔原作アニメ比較を行うと、媒体の差異を超えた制作陣のすさまじい執念が浮かび上がります。漫画における変顔は、静止画特有の「コマのタメとブチ抜き」によって読者の不意を突く視覚的ショックを重視して設計されていました。劇画調の微細な斜線や陰影の書き込みによって、美少女の顔面にしわが刻まれるインパクトは紙媒体ならではの醍醐味です。
一方、アニメーション版では「音声」と「動きのタメ・解放」が加わったことで、顔芸が立体的なパフォーマンスへと進化を遂げました。特筆すべきは、アシリパ役を演じた声優・白石晴香氏の熱演です。白石氏はインタビュー等で「ヒロインだからといって可愛さに逃げず、全力で白目を剥いて叫ぶ野田先生の原画に魂を合わせた」と語っており、喉を鳴らすようなオソマ拒絶の絶叫や、チタタプを強要する際のドスの利いた低音ボイスを体当たりで演じ切りました。
映像面においても、スタッフ陣は原作の持つ劇画風の筆致をアニメ作画にトレースするため、変顔シーンのみ意図的に主線の太さを変えたり、彩度を落として劇画タッチの影を落とすといった特殊な画面処理を採用しています。原作の持つ混沌としたエネルギーを損なうことなく、音響と作画の総合力で昇華させた結果、アニメ版の変顔は放送直後から毎回トレンド入りを果たすほどのキラーコンテンツとなりました。