運勢の格付けに対する考え方は、個別の寺社ごとの歴史や思想によってさらに豊かになる。たとえば、学問の神様として知られる菅原道真を祀る太宰府天満宮をはじめとする天満宮系の神社や、年間を通じて膨大な参拝客が訪れる明治神宮では、一般的な吉凶の表示そのものを扱わない、あるいは独自の形式をとることで知られる。明治神宮で授与される「大御心(おおみごころ)」は、吉凶を占うのではなく、明治天皇や昭憲皇太后が詠まれた和歌を通じて人々の生き方の指針を示すものだ。
一方で、仏教寺院である浅草寺のおみくじは、伝統的な「元三大師百籤(がんざんだいしひゃくせん)」の形式を厳格に守り続けていることで有名だ。浅草寺では、大吉、吉、半吉、小吉、末吉、末小吉、凶という7段階が定められており、ここでは「吉」が「小吉」の上位に位置する。しかも、凶が出る確率が約30%と比較的高いことでも知られており、運勢の並びだけでなく、吉凶の配分割合そのものに固有の教えが込められている。