「水が抜け出たような感覚があったのに、翌朝になっても耳が塞がった感じが消えない」という違和感を訴える人は大勢います。大手SNSやQ&Aサイト上でも、「お風呂上がりに耳がボワボワして自分の声が響く」「水ではなく病気なのではないか」といった生々しい相談が年間を通じて数千件規模で投稿され続けています。
こうした状況において、お風呂上がりに耳がこもる治し方を探る上で見逃せないのが、水分そのものではなく「耳垢の吸水膨張」という物理現象です。外耳道内に溜まっていた乾燥した耳垢が、プールや入浴の水気を吸うことでスポンジのように2倍から3倍の体積に膨れ上がります。これが耳の穴を完全に密閉してしまい、耳の聞こえが悪くなった直接の原因を作り出しているのです。
さらに、大人の耳管機能が乱れている場合にも同様の症状が現れます。水が入った不快感から鼻を強くすすったり、無意識に顎を過度に動かしたりすることで耳管周辺が鬱血し、鼓膜の内外で気圧差が生じる「耳管狭窄(じかんきょうさく)」を併発しているケースも珍しくありません。つまり、耳の奥に残っているのはもはや「水」ではなく、二次的に引き起こされた閉塞障害であるという実態を認識する必要があります。