「昔はもっと首筋が見えていたのに、いつの間にか埋もれてしまった」と嘆く声は後を絶ちません。この胸鎖乳突筋埋もれる理由の根底にあるのが、日常的な前傾姿勢による筋スパズム(過緊張)と筋膜の癒着です。
回復期リハビリテーションや訪問看護の現場で脳血管・運動器疾患に携わってきた理学療法士の内藤かいせい氏の見解によると、頭部がわずか数センチ前方へ滑り落ちるだけで、頸椎にかかる負荷は通常の3〜4倍(約20kg以上)に跳ね上がります。頭部を前方に突き出した「スマホ首」の状態が常態化すると、胸鎖乳突筋は常に縮こまった状態で緊張を強いられ、血流不全からコラーゲン繊維が硬化します。
この持続的な短縮によってストレートネック矯正が困難になり、首前面のリンパ流が物理的に圧迫されます。結果として老廃物や皮下脂肪が筋肉の溝を覆い隠し、首とアゴの境界線が消失してしまうのです。つまり、首筋が埋もれている正体は「単なる肥満」ではなく、「不良姿勢が生んだ慢性的な筋硬直と水分滞留」に他なりません。