良かれと思って続けているトレーニングが、皮肉にも理想の体型を自ら壊してしまっている例は後を絶ちません。その最たる例が、ジムでダンベルを片手に持って身体を横に倒す「ダンベルサイドベント」の乱用です。
筋肉には負荷をかければかけるほど太くなる「筋肥大」という普遍の生理作用があります。重いダンベルを用いて過剰に外腹斜筋を鍛え上げると、横腹の筋肉そのものの厚みが増してしまいます。正面から見たときにウエストの横幅が外側に拡張し、結果としてくびれのないドラム缶のような寸胴体型を作り出してしまうのです。ボディビルディングにおいて極太の体幹を目指す場合を除き、洗練されたウエストラインを求める人が高重量の側屈運動を行うメリットは皆無と言わざるを得ません。
また、「横腹をもみほぐせば脂肪がセルライトごと流れて消える」といったエステ由来の俗説も医学的根拠を欠いています。マッサージによる一時的なむくみ解消と、脂肪細胞そのものの減少・燃焼を混同してはなりません。脂肪細胞のアポトーシスや代謝を促すのは、血流の改善と適切なエネルギー消費のバランスの上に成り立つ厳密な生理現象です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
脇腹の集中トレーニングを取り入れるにあたり、現在の自身の身体状態を客観的に見極める必要があります。以下に示す基準をもとに、自分がどの段階にいるのかを確認してください。
【今すぐ実践すべき人】
- 全体的な体重は標準値だが、くびれがなく寸胴に見える人:腹横筋や内腹斜筋のトーンを高め、肋骨を締めることで劇的なプロポーションの変化が見込めます。
- 骨盤の前傾(反り腰)や猫背を自覚している人:体幹側面の安定性を高めることでアライメントが整い、ぽっこり出た下腹と浮き輪肉の双方が改善へと向かいます。
- 体脂肪率は適正だが、お腹周りにメリハリが足りない人:自重でのサイドプランクや回旋系エクササイズにより、美しい半月線のラインが引き出されます。
【アプローチに慎重になるべき人】
- 体脂肪率が男性22%以上、女性30%以上の人:筋トレ単体で横の脂肪を削ることは困難です。まずは全身の大筋群(脚・背中)を使った運動とアンダーカロリーの食事管理を最優先にすべきです。
- 慢性的な腰痛や椎間板ヘルニアの既往歴がある人:勢いをつけた回旋運動(ツイストクランチなど)は腰椎に致命的な負担をかけます。回旋を伴わない静止型のサイドプランクから慎重に導入してください。