アナ雪衣装の謎を解く!劇団四季の早替えからドレスの深層心理まで徹底解剖

アナ雪衣装の謎を解く!劇団四季の早替えからドレスの深層心理まで徹底解剖

アナ雪衣装の謎を解く!劇団四季の早替えからドレスの深層心理まで徹底解剖にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。

『アナと雪の女王』の衣装表現を語る上で欠かせないのが、クリストフが着用するトナカイ飼育者の防寒具と、北欧先住民族サーミ(Sámi)の伝統衣装「ガクティ(Gákti)」を巡る文化的経緯です。

第1作の公開時、クリストフの衣装デザインや劇中音楽の一部に関して、スカンジナビア北部の先住民族サーミの文化要素が無断で使用されているのではないかという議論が国際的に巻き起こりました。サーミの伝統衣装であるガクティは、地域や家系、未婚・既婚の別を示す神聖なアイデンティティであり、安易な意匠の剽窃は文化盗用(Cultural Appropriation)に当たりかねないデリケートな問題を孕んでいたためです。

ディズニーはこの批判を真摯に受け止め、続編『アナと雪の女王2』の製作に際して極めて誠実なアプローチをとりました。2019年、制作陣はノルウェー、スウェーデン、フィンランドのサーミ議会およびサーミ評議会と公式な協力協定を締結。専門家集団「Verddet(ヴェールデ)」の助言と公式監修のもと、北の民「ノーサルドラ」の衣装やクリストフの装身具がデザインされました。

映画産業が先住民族の知的所有権と文化的尊厳を守りながら、いかに豊かなアートを共創できるかを示したこの事例は、エンターテインメント衣装史における記念碑的転換点として高く評価されています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。