世界各国の報道機関を比較すると、対象国との政治的距離感が名称の扱いに露骨に現れる。最も顕著なのが同盟関係にある中国だ。人民日報や新華社通信といった主要メディアは、一貫して「朝鮮(Cháoxiān)」と報じる。「北」という限定詞をつけず、相手国の自称を尊重する配慮を見せている。
これに対し、BBCやCNN、The New York Timesといった英語圏のニュースメディアでは、視聴者の直感的な理解を優先して「North Korea」が標準的な表現として定着している。文脈によって「the Pyongyang regime(平壌体制)」や「DPRK」を織り交ぜながら報道の意図を使い分ける手法が一般的だ。どの言葉を選ぶか自体が、その国やメディアが持つ地政学的立ち位置を雄弁に物語っている。