「日本が本気を出せば数か月で核兵器を開発できる」という言説が国際政治の現場でも議論されることがあります。日本の核保有可能性と議論における客観的事実はどうなっているのでしょうか。
技術面だけで言えば、国内の原子力発電所由来の分離プルトニウムを保有し、固体燃料ロケット「イプシロン」に代表される高度な弾道ミサイル転用可能技術を持つため、潜在的な核武装能力(核敷居国としての地位)は世界屈指とみなされています。しかし、核実験場の確保、起爆装置の信頼性検証、国際原子力機関(IAEA)の厳格な査察網、そして日米原子力協定による制約を考慮すると、現実的な核保有は外交的・経済的な破滅を意味します。
政治・法制度の側面では、専守防衛と憲法9条改正の経緯が大きな転換点を迎えています。2015年の平和安全法制による限定的な集団的自衛権の行使容認、2022年の「国家安全保障戦略」改定による反撃能力の保有明記を経て、従来の「盾」に徹する防衛政策から「矛の機能の一部を保持する抑止力重視」へと現実的な法解釈・制度改革が進展しました。