健康志向が高まり、減塩技術や微細電気刺激を利用した「塩味を感じるスマート食器」が普及した2026年においても、本物の塩の役割は消えていない。むしろ、総塩分量を減らすためこそ、最初に加える微量の塩が重要視されている。
野菜のスープを仕込む際、煮込みの初期段階で投入される微量の結晶は、細胞壁のペクチン構造を変化させ、細胞内のうま味成分を効率よく外へ引き出す。ここで使われる塩は、塩味をつけるためではなく、素材のポテンシャルを解放するための触媒だ。全体の塩分を抑えるためにこそ、最初の「ひとふり」を削ることはできない。