採血が痛くない方法はある?痛みを激減させる科学的裏ワザと現場の真実

採血が痛くない方法はある?痛みを激減させる科学的裏ワザと現場の真実

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「痛いのが苦手なので、一番細い針で採血してください」と希望する受診者は後を絶ちません。一般的に、針の太さは「ゲージ(G)」という単位で表され、数字が大きくなるほど針の外径は細くなります。しかし、細い針を選べばすべてが解決するわけではありません。

針のサイズ(規格)外径(mm)と穿刺時の特徴一般的な用途・適応基準メリットと隠れたデメリット21G(直針)
標準的な採血針約0.80mm。
しっかりとした穿刺感がある。健康診断や通常の多項目採血の標準。成人の基本サイズ。短時間で終了する。血液の吸入速度が速く、赤血球が壊れにくい(溶血が起きにくい)。22G(直針)
やや細めの採血針約0.70mm。
刺入時の抵抗が少ない。血管がやや細い女性や高齢者の採血で頻用される。穿刺痛は21Gよりやや軽減されるが、大量採血時にはやや時間を要する。23G(翼状針)
極細タイプの採血針約0.60mm。
皮膚貫通時のチクッとした痛みが極小。小児、手背採血、極度に血管が細く脆い患者の救済策。刺す痛みは激減するが採血時間が倍増。陰圧で赤血球が破壊(溶血)し再検査リスクが増大。

成人の標準採血で広く採用されているのは21G〜22Gです。23Gのような細い針(バタフライニードル/翼状針)を選択すると、確かに皮膚を貫く「チクッ」という痛みは半減します。しかし、針が細いということは、それだけ血液が流れる管が狭くなることを意味します。スピッツ(採血管)を何本も採る健診の場合、針が血管内に留まっている時間が1.5倍から2倍近く長くなり、血管内部の圧迫痛や拘束される精神的ストレスが増加します。

さらに臨床検査の現場で深刻なのが、細い管を無理に減圧吸引することで赤血球が破壊される「溶血(ようけつ)」のトラブルです。溶血が起きると、赤血球内のカリウムや酵素が血清中に漏れ出し、検査データが異常値を示してしまいます。結果として「正確なデータが出ないため、後日もう一度採血し直す」という本末転倒な事態に陥りかねません。細い針の希望は、「採血本数が1〜2本で、どうしても血管が細く刺せない時」に限るのが臨床的な正解です。

佐藤 大輔
著者

佐藤 大輔

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。