華やかな脚光を浴びる以前、彼らの道程は決して平坦ではなかった。キザなローラースケートキャラや過激なビジュアル系スタイルなど、松陰寺太勇は長年にわたり自身のキャラクター模索に苦悩していた。相方のシュウペイもまた、自身の立ち位置とコンビの方向性に迷いを抱えていた時期が長く続いた。
ブレイクの象徴となる「否定しないツッコミ」と「時を戻そう」のフレーズは、ある日突然降りてきた奇跡ではない。ネタの最中に予期せぬ失敗が起きた際、咄嗟にそれを笑いに変えようとした土壇場の機転と、幾度もの劇場出演で研ぎ澄まされた泥臭い現場感覚から生まれたものだった。否定を肯定へと反転させるアプローチは、追い込まれた末の泥臭い試行錯誤が生んだ至高の技だったのである。