「すみれ」の味噌ラーメンを語る上で欠かせないのが、スープの表面を隙間なく覆う厚いラードの膜だ。一見すると湯気が立っていないため油断しがちだが、その下にはマグマのような熱さのスープが閉じ込められている。この独自の保温構造こそが、氷点下の寒さに晒される札幌の冬を生き抜く知恵として磨かれてきた技術である。
一口スープを口に含めば、焼き上げられた味噌の香ばしさに続き、にんにくと生姜のパンチの効いた風味が口いっぱいに弾ける。重厚でありながらも、後味にほのかな爽快感が残るのは、絶妙な塩梅で加えられた生姜のキレのおかげだ。縮れ中太麺がその濃厚なスープをしっかりと持ち上げ、噛むほどに小麦の甘みと旨味が交錯する。まさに計算し尽くされた味の黄金比率と言えるだろう。