自動販売機で購入して意気揚々と指定席に着座したものの、車内ですぐに食べようとして付属のスプーンを差し込み、見事に先端を曲げてしまった経験を持つ方は少なくありません。美味しく、かつスマートにいただくためには、いくつかの物理法則を活用した攻略法が存在します。
最も王道であり、メーカー側も推奨しているのが「10分〜15分の自然解凍」です。新幹線が東京駅を出発し、品川や新横浜を通過するあたりまでじっくりと車窓を眺めながら待機します。外装の霜が消え、カップの側面にうっすらと結露が生じ始めた瞬間こそが、外側が適度にクリーミーになりつつ中心にしっかりとしたシャープな冷たさが残る至高のタイミングです。
待つ時間を短縮したい旅慣れた乗客の間で長年実践されているのが、ホットコーヒーを活用した裏ワザです。駅売店や自販機で購入した温かいドリップコーヒーのカップのフタの上に、アイスのカップを底面から重ねるように乗せて温める手法です。下からの蒸気熱によって底面が適度に緩み、数分でスプーンがスッと通るようになります。ただし、熱が偏ると底だけが完全に液化して風味が乱れるため、数十秒単位で様子を見極める繊細さが求められます。
物理的な道具で真っ向から挑むなら、アルミニウム製アイススプーンの携行に勝るものはありません。駅の自販機周辺や売店でも販売されているこのアイテムは、アルミニウムの極めて高い熱伝導率を利用しています。指先や手のひらの体温が瞬時にスプーンの先端へと伝わるため、硬い氷の結晶を体温で溶かしながら、まるでバターを切り分けるかのような感触で滑らかに掬い取ることが可能です。