アクリルガッシュを一言で定義するなら、アクリルエマルジョン(アクリル樹脂)をバインダー(固着材)とし、顔料を極めて高密度に練り込んだ「不透明水彩アクリル絵の具」です。フランス語の「ガッシュ(Gouache)」は本来、顔料の含有量が多く不透明な水彩絵の具を指す言葉ですが、これにアクリル樹脂の化学的利点を融合させたハイブリッド画材として誕生しました。
学校教育の現場で親しまれる「ポスターカラー」も同じく不透明でマットな質感を持ちますが、ポスターカラーのアラビアゴム糊ベースとは異なり、アクリルガッシュは一度乾燥すると水に溶けない耐水性の塗膜を形成します。この「ポスターカラーのような均一な平塗り性能」と「アクリル絵の具の堅牢な耐水性」を兼ね備えている点こそ、デザイン業界やイラストレーションの現場で長年重宝されている最大の理由です。
プロのクリエイターが口を揃えて称賛する隠れたメリットは、照明の反射を受けない均質な画面設計ができる点にあります。光沢のある絵の具は、展示会場のスポットライトやスキャナーでのデジタル取り込み時に白飛びやテカリを起こしがちです。しかし、アクリルガッシュの表面は微細な凹凸によって光を乱反射するため、どの角度から見ても意図した色調が正確に視認でき、デジタルアーカイブ化やポスター原画の制作において無類の強さを発揮します。