検察が立件したカルロス・ゴーンの容疑は、大きく分けて「金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)」と「会社法違反(特別背任罪)」の2系統・計4つの事件で構成されています。法的な専門用語が多いため、まずは何が問題視されたのかを整理します。
第1の容疑は役員報酬の過少記載です。2010年3月期から2018年3月期までの8年間において、実際の報酬総額が約170億円に達していたにもかかわらず、有価証券報告書には約79億円と記載し、約91億円分を隠蔽して退任後に受け取る密約を結んでいたと認定されました。このスキームを主導・補佐したとして、元代表取締役のグレッグ・ケリーも共犯として起訴されています。
第2の容疑は、一般に特別背任罪と呼ばれる会社財産の私的流用です。特別背任罪とは、企業の重役が自己や第三者の利益を図る目的で会社に損害を与える重罪を指します。具体的には以下の不正ルートが追及されました。
- 私的投資損失の付け替え(新生銀行ルート):2008年のリーマン・ショック時、ゴーン個人が抱えた約18億5000万円のデリバティブ取引損失を含む契約を日産へ一時的に移転させ、信用保証を取り付けるためにサウジアラビアの知人実業家へ日産の機密費(CEOリザーブ)から約16億円を不正送金した容疑。
- オマーン・ルート:日産からオマーンの販売代理店に支出された販売奨励金のうち、約5億6000万円をゴーン自身が実質支配するレバノンのペーパー会社に還流させ、家族用の高級クルーザー購入資金などに充てた容疑。