インターネット上の掲示板や知恵袋、社内アンケートでは、毎年行われる安全標語の公募に対して「無駄な業務」「どうせ誰も読まない」「上層部の自己満足」といった冷ややかな意見が散見されます。なぜ安全標語はこれほどまでに形骸化しやすいのでしょうか。
最大の盲点は、多くの企業が「標語を作ること自体」を目的に設定してしまっている点にあります。本来、標語とは作業員が危険な行動をとる直前に脳内で再生され、ブレーキをかけるための「行動トリガー」でなければなりません。
ネット上で批判の対象となりやすい標語の典型例として、以下のような特徴が挙げられます。
- 「安全第一 心掛けよう」のような、何をしてよいか分からない具体性ゼロの精神論
- 社内規定や法規の文言を無理やり五七五に押し込めた、口ずさめない難解な長文
- 上位下達(トップダウン)で課され、提出しないとペナルティがある「やらされ仕事」の産物
2010年に全国安全週間が掲げた「みんなで進めよう」という主語は、まさにこのトップダウンの形骸化を打破するためのメッセージでした。現場が自らの手で危険を見つけ、自らの言葉でルール化しない限り、壁に貼られた看板は単なる風景と化してしまうのです。