選挙の翌朝、バッジを失った候補者を待っているのは、想像を絶する事務的かつ経済的な現実です。まず突きつけられるのが、国会議事堂内にある議員会館オフィスの明け渡し通告です。当選者への部屋割り替えのため、落選議員は数日以内にすべての書類や荷物を搬出しなければなりません。
さらに深刻なのが、落選議員を支えてきた秘書の給与と身処です。国費から手厚く支払われていた公設秘書3名(政策担当秘書・第1秘書・第2秘書)の給与は、落選の確定とともに即日支給がストップします。有能な秘書ほど他派閥や他党の当選議員へと引き抜かれていき、残されたスタッフの生活を守るためには、元議員が私費で私設秘書として雇用し続けなければなりません。
自著の手記や関係者の告白によれば、落選した政治家の収入と生活は一気に奈落へと突き落とされます。 「毎月振り込まれていた歳費と旧文通費計270万円余りが途絶える一方、地元事務所の家賃、光熱費、機関紙の印刷代、ポスター貼り替え費用で毎月最低でも150万円が口座から消えていく。貯金通帳の残高が目減りしていく恐怖で、夜も眠れなくなった」 という現場の声は決して誇張ではありません。民間企業の顧問職や講演活動で糊口をしのぐケースもありますが、影響力を失った元代議士に対する世間の風当たりは冷ややかであり、自宅を担保に数千万円の借金を背負う元議員も少なくありません。