なぜコンクリート打ちっぱなしの部屋は、これほどまでに「寒さ」と「結露」に悩まされるのでしょうか。その決定的な理由は、コンクリートという建材が持つ極めて高い熱伝導率と調湿機能の欠如にあります。
一般的な木造住宅で使用される木材に比べ、コンクリートの熱伝導率は約10倍から15倍に達します。つまり、外気の冷たさや日射熱をそのままダイレクトに室内側へ伝えてしまう性質を持っています。通常の住宅であれば、外壁と内装の間にグラスウールなどの断熱材を充填し、石膏ボードとビニールクロスで覆うことで熱の移動を遮断します。しかし内装にコンクリートを露出させた構造では、室内側に断熱層を設けることが物理的にできません。
さらに見落とされがちなのが、表面の結露メカニズムです。暖かい室内の湿気が、冷え切ったコンクリート壁面に触れると急激に冷却され、飽和水蒸気量を超えて水滴へと変化します。通常の壁紙下地のような吸湿性がないため、水分はそのまま壁の表面を伝い落ち、巾木や床の隅に滞留します。この水分と埃を栄養分として、黒カビや青カビが爆発的に繁殖する環境が完成してしまうのです。
加えて、RC造(鉄筋コンクリート造)の新築物件では、打設されたコンクリート内部の水分が完全に抜けるまでに約2〜3年の歳月を要します。水分を放出し続けている新築直後の打ち放し物件に換気不足のまま居住することは、まさにカビの培養器の中で暮らすようなリスクを孕んでいます。