ドラッグストアのOTC医薬品コーナーや漢方相談の現場において、咳止めを求める消費者の間では深刻な「選び間違い」が日常的に発生しています。調剤薬局やドラッグストアの店頭で活動する薬剤師・登録販売者の聞き取り調査によると、来店客の約6割が自身の咳の性質(乾性か湿性か)を把握せず、「パッケージに激しい咳と書いてあったから」「知人がよく効くと言っていたから」という理由だけで製品を手に取っている実態が浮き彫りになっています。
SNSや大手知恵袋などのコミュニティに投稿された生の声・評判を検証すると、対照的な失敗パターンが顕著に現れています。
「長引く風邪の後、夜中に喉がチクチクして咳が止まらないため、強力そうに見えた五虎湯を服用したところ、咳が止まるどころか喉のカラカラ感が増し、動悸と手の震えで眠れなくなった」(30代会社員・口コミ投稿より)
この事例は、喉が乾燥している「陰虚」の状態に対して、水分を発散させる作用を持つ麻黄配合の五虎湯を投与してしまった典型例です。気道がさらに乾燥し、麻黄のエフェドリン作用によって不快な交感神経刺激症状が引き起こされています。
一方で、麦門冬湯に関する投稿では次のような声が散見されます。
「風邪の初期で黄色い痰がドロドロ出て息が苦しいときに麦門冬湯を飲んだが、まったく咳が引かず、むしろ痰の量が増えて息苦しさが増した気がした」(40代主婦・口コミ投稿より)
麦門冬湯は組織に水分を補給して潤す薬方であるため、すでに気道に余分な湿(黄色い粘稠痰)が溜まって熱を持っている急性炎症期に使うと、かえって水分の滞留を助長し、病勢を悪化させてしまうことがあります。ツムラの麦門冬湯やクラシエの五虎湯はいずれも極めて高品質な医薬品ですが、体質や症状の局面と合致していなければ本来の効果は引き出せません。