なぜ1024画もの漢字が公的に作られないのか。そこには単に「手書きが困難だから」という理由だけでなく、デジタル世界における文字コードの技術的制約という大きな盲点が存在します。
文字情報技術振興財団(CITPC)や文字フォント開発の現場を取材すると、1文字をフォントデータとして設計する際、一般的な解像度(例えば64×64ピクセルや128×128ピクセル)では、画数が100画を超えた時点で線と線の隙間が潰れ、文字としての判別が不可能になります。1024画の文字を無理にフォント化しようとすれば、4Kディスプレイで極大サイズに拡大表示しない限り、ただの「黒い正方形」としてしか視認できません。
漢字は本来、意味を伝達するための「表意文字」です。他者とコミュニケーションを取る記号としての機能を喪失し、縮小表示に耐えられないデータは、文字ではなく「単なるラスター画像」とみなされます。ネット上で「文字」として画像が拡散されているものの、それがテキストデータとしてコピー&ペーストできないのは、この文字コードの壁があるためです。