聖職者の呼び名である神父と牧師の違いも、両教派の構造を象徴しています。日常会話で混同されがちですが、その役割と身分には厳格な境界線が引かれています。
カトリックの聖職者は正式には「司祭(しさい)」と呼ばれ、信徒からは親愛を込めて神父(ファーザー)と呼ばれます。司祭は神から特別な権能を授かる「叙階の秘跡」を受けた存在であり、神と人との仲介者としてミサを司り、信徒の罪を赦す告解(ゆるしの秘跡)を行う資格を持ちます。また、カトリックの司祭は生涯独身を守る「独身制」が義務付けられています。
対するプロテスタントの牧師(パスター)は、「万人祭司(すべての信徒が神の前に平等である)」という教理に基づき、信徒の代表として教会を指導・牧会する役職です。特別な階級ではなく職業としての位置づけであり、一般的に結婚して家庭を持つことが認められています。
さらに組織面において、カトリック教会は世界最小の主権国家であるバチカン市国に拠点を置き、ペトロの後継者とされるローマ教皇(法王)を頂点とした厳格な中央集権的ヒエラルキーで全世界が一つの共同体として統率されています。一方のプロテスタントは教派(ルーテル、長老派、バプテスト、メソジストなど)ごとに独立した組織運営を行っており、世界統一の最高指導者は存在しません。