ネット上の掲示板や一部のカジュアルなゴルフファンの間では、「シニアツアーは引退した往年のスターによるエキシビション」「年金ツアーのような緩やかな雰囲気」といった根強い誤解が存在します。しかし、実情は全くの正反対です。
第一の盲点は、本戦の出場枠を勝ち取るための極めて狭き門です。ナショナルオープンである以上、シード権を持たないプロやトップアマチュアには過酷な予選ルートが課されます。全国各地で開催される地区予選を突破し、さらに予選会通過者一覧に名を連ねることができるのは、全出場者のわずか一握り。百戦錬磨のベテランプロですら、予選会の1打に泣いて本戦出場を逃す光景が日常茶飯事となっています。
第二の盲点は、コースコンディションのシビアさです。日本ゴルフ協会が主催するセッティングは、決してシニア向けに妥協されたものではありません。7,000ヤードに迫る総距離に加え、少しでもフェアウェイを外せばボールがすっぽり隠れるヘビーラフが待ち受けます。グリーンコンディションもスティンプメーター11〜12フィート超、コンパクション(硬さ)23〜24mmといった、米ツアーや日本オープン本戦並みの硬尺仕様が平然と要求されます。
技と知識がなければ、1ラウンドで80台を容易に叩いてしまうコースセッティング。そこに立ち向かう選手たちにとって、この大会は「懐古の場」ではなく、自らのゴルファー生命と誇りを担保するための「最前線の戦場」にほかなりません。