北海道編における最大の衝撃は、最強の剣客として名を馳せた緋村剣心の肉体的な衰えが逃れようのない現実として描写されている点です。人斬り抜刀斎時代から幕末・明治の動乱を駆け抜けてきた代償として、比古清十郎のような強靭な体躯を持たない剣心の筋組織は、飛天御剣流の超人的な負荷に耐えられなくなっています。
作中では、全力で技を放てる回数が残りわずかである事実が明かされ、医師の診察でも身体の酷使に対するドクターストップがかかる場面が描かれました。無茶を続ければ命に関わるという緊迫した状況下で、神谷薫や息子・剣路を残してなお北の大地へ赴いた剣心の覚悟が、読者の胸を締め付けます。かつての無敵感とは異なる「命を削りながら戦う抜刀斎」の姿は、物語全体に重厚なサスペンスと哀愁をもたらしています。