静岡県清水町を流れる柿田川は、全長わずか約1.2キロメートル。日本で最も短い一級河川でありながら、日量100万トン以上という驚異的な湧水量を誇る。
富士山に降り注いだ雨や雪が数十年の歳月をかけて地下をくぐり抜け、地上に湧き出すこの川は、国の自然環境保全地域にも指定されている。かつて高度経済成長期には工場排水でヘドロに覆われ、存続の危機に瀕した歴史を持つ。それを救ったのは、住民たちによる泥のかき出しと粘り強い水源保護運動だった。現在では絶滅危惧種の水草「ミシマバイカモ」が初夏に可憐な白い花を咲かせ、訪れる人々に水の大切さを無言で語りかけている。