マフラーの抜けが良すぎる社外品へ交換した際、多くのライダーやドライバーが直面するのが「低回転域のスカスカ感」です。排気流速が下がりすぎてシリンダー内の充填効率が落ちるこの現象に対し、ステンレスタワシの挿入による適度な背圧の上昇が、思わぬ好結果をもたらす場面があります。
排気流に適度な抵抗が加わることで抜けすぎ改善効果が働き、発進時や極低速域におけるアクセルレスポンスが向上したように感じられるのです。これがDIYユーザーの間で「トルクアップした」と評価される最大の要因です。しかし、この排気圧トルク変化には明確な限界点が存在します。
エンジン回転数が中速域から高速域へと上昇するにつれ、排出されるべき排気ガスの量は爆発的に増加します。タワシによって排気流がせき止められると、シリンダー内に燃焼ガスが残留する排気干渉が起き、高回転域では露骨なパワーダウンやエンジンの吹け詰まりが発生します。さらに、排気温度の異常上昇を招き、エキゾーストマニホールドやバルブ周りへ過度な熱負荷をかける原因にもなりかねません。