結論から明かすと、「塚地武雅(つかじ むが)」という名前は芸名ではなく、戸籍に記載された本名そのものです。バラエティ番組や映画のエンドロールでその名を目にした人々が「落語家の亭号のようだ」「武士のような芸名ではないか」と推測することも少なくありませんが、正真正銘の生まれ持った実名として半世紀以上の人生を歩んでいます。
この印象的な名付けの主は、彼の父親でした。生前、父親は息子に対して「武芸に秀でる強さ(武)と、心豊かな優雅さ(雅)を兼ね備えた人間になってほしい」という強い願いを込めて「武雅」と命名したと語られています。仏教用語の「無我(むが)」や「無我夢中」の響きを連想させるこの名前は、幼少期の塚地少年にとって時にからかいの対象になることもありました。しかし芸能の世界に飛び込んでからは、名刺代わりとなる強力なアイデンティティとして機能することになります。
さらに名字である「塚地」も、日本全国で見ても極めて珍しい希少姓です。姓氏研究のデータや公的記録によると、全国の「塚地」姓はおよそ数百人規模と推計されており、主に高知県や鹿児島県、そして塚地本人の出身地である大阪府の泉州地域などに点在しています。珍しい苗字と個性的な名前が組み合わさった結果、一度聞いただけで大衆の記憶に深く刻み込まれる、天賦のネーミングが誕生したと言えます。