喫煙者が最も気にする「タール」と「ニコチン」の観点から、両者の決定的な差を検証します。紙巻きタバコはタバコ葉を約800度で不完全燃焼させるため、煙の中に数千種類もの化学物質、約70種類の発がん性物質が凝縮された黒褐色の粘性物質(タール)を生み出します。一方のアイコスは、約300〜350度でタバコスティックを加熱し、蒸気(エアロゾル)を発生させる構造です。
ここで知っておくべきは、加熱式タバコには公的な「タール表示義務」が存在しない点です。タールとは燃焼生成物から水分とニコチンを除いた総量を指す測定概念であるため、燃焼を伴わないアイコスでは測定基準が当てはまりません。しかし、エアロゾル中にはグリセリンやプロピレングリコール、タバコ特異的ニトロソアミンなどの粒子状物質が確実に含まれており、決して「タールゼロの無害な水蒸気」を吸っているわけではないのです。
表のデータが如実に示す通り、アイコスは「一酸化炭素」の発生を劇的に抑えているものの、肝心のニコチン量は通常の紙巻きタバコと何ら変わりません。そのため、心拍数の急上昇、末梢血管の収縮、動脈硬化の促進といった循環器系への直接的な負荷は、紙巻きタバコとほぼ同水準でかかり続けることになります。