『海底鬼岩城』が今なお大人の鑑賞に堪えうる傑作とされる最大のアドバンテージは、敵役である「ポセイドン」の造形にある。主を失った古代帝国アトランティスの深淵で、愚直に「敵への自動報復」を実行し続ける核搭載巨大コンピューター。この絶望的なシステムに死を覚悟して挑んだのがエルだった。
国家が滅びてもなお作動し続ける自動兵器というテーマは、東西冷戦下の核抑止論を直接的に反映したものだ。2026年現在、自律型致死兵器システム(LAWS)の倫理問題が世界中で現実の議論となっている。ポセイドンとエルの死闘は、半世紀近く前のファンタジーではなく、現代への強烈な予言として響く。