凶行に及んだ犯人は、現場近くの川崎市麻生区に住んでいた岩崎隆一(当時51歳)でした。警察の捜査や関係者の証言によって明らかになったその生い立ちは、幼少期からの家庭内葛藤と深刻な社会的孤立に満ちていました。
幼少期に両親が離婚し、親族である高齢の伯父・伯母夫婦に引き取られて育った岩崎は、従兄弟たちと比較される環境の中で強い劣等感と疎外感を抱えていたとされます。学校卒業後は職を転々としたものの長続きせず、事件前の数十年間は定職に就かず、自宅の部屋に閉じこもる生活を続けていました。
同居していた80代の伯父と伯母に対しても家庭内での会話はほぼ途絶えており、意思疎通はドア越しに挟まれたメモ用紙のみで行われていました。高齢の親族が自活できなくなった際を懸念し、川崎市の精神保健福祉窓口に相談していた記録も残されています。しかし、行政の介入を拒絶した岩崎の内部では、社会に対する一方的な被害妄想と恨みが醸成されていきました。
犯行の数か月前には自ら量販店で刃物を購入し、現場の下見を繰り返していた形跡が判明しています。なぜ無抵抗な小学生の通学待機列を狙ったのかという点について、犯罪心理の専門家は「恵まれた環境で未来に向かって歩む子どもたちやその家庭」という、自身が手に入れられなかった幸福の象徴に対する身勝手なルサンチマン(怨恨)の発露であったと分析しています。