制作トラブルという逆風の中でも、視聴者を惹きつけ続けたのはキャスト陣の卓越した演技力とキャラクター描写の解像度でした。物語の軸となる木野ひまり役の嶋野花さんと、朝凪依役の瀬戸桃子さんによる掛け合いは、原作が持つ繊細な感情の機微を見事に表現しています。
ひまりが依の歌声に対して抱いた「憧れのひとめぼれ」と、依がひまりの純真な笑顔に抱いた「恋愛感情としてのひとめぼれ」。この決定的な温度差とすれ違いは、二人の声のニュアンスを通じてリアルに描き出されました。瀬戸桃子さんのクールでありながら恋心に戸惑う芝居と、嶋野花さんの天真爛漫さの裏にある誠実な葛藤は、多くの百合ファンから絶大な支持を得ています。
さらに、脇を固める水野亜季役の小松未可子さん、筒井真理役の小原好美さん、橘香織役の加隈亜衣さん、そして泉志帆役の根本優奈さんといった実力派声優陣の重厚な演技が、物語に深いドラマ性と説得力を与えました。