日本のホテル業界において「御三家」と称される3つの名門は、それぞれが誕生した時代背景と明確な使命を持っています。単なる宿泊施設にとどまらず、日本の都市機能や外交の要所として発展してきました。
【帝国ホテル 東京】(1890年開業)
明治の元勲・井上馨の提唱により、日本の「迎賓館」として日比谷の地に誕生しました。世界的な建築家フランク・ロイド・ライトが手掛けた通称「ライト館」の時代を経て、日本のホテル文化の標準を築き上げたパイオニアです。日本初の「バイキング(ブッフェ)」形式の導入や、ホテル内ウェディングの確立、ボタン付けまで行うランドリーサービスなど、現在のホテルサービスの原型を数多く生み出しました。
【ホテルオークラ東京 / The Okura Tokyo】(1962年開業)
大倉財閥の総帥・大倉喜七郎が「世界に通じる日本独自のホテル」を目指して創業しました。日本の伝統美とモダニズム建築が見事に融合した空間美は、世界中の建築家やデザイナーから絶賛を浴びています。2019年に「The Okura Tokyo」として生まれ変わった際も、ロビーの「オークラ・ランタン」や麻の葉文様の組子細工といった伝統のデザイン意匠を忠実に継承。「伝統のフレンチ」と「おもてなしの心」は今も業界屈指の完成度を誇ります。
【ホテルニューオータニ】(1964年開業)
1964年の東京オリンピック開催に伴う宿泊施設不足を解消すべく、大谷米太郎が私財を投じて紀尾井町に創業しました。加藤清正の下屋敷にルーツを持つ約1万坪の広大な日本庭園を抱き、敷地内には1400室を超える客室と30以上もの料飲施設が揃います。「ホテル・イン・ホテル」の先駆けであるスーパーラグジュアリーフロア「エグゼクティブハウス 禅」や、日本最高峰のスイーツを展開する「パティスリーSATSUKI」など、常に時代の半歩先を行く革新性が際立ちます。