「ソルトウォータータフィー」という名称から、誰もが「塩水で練り上げたお菓子」を想像しがちですが、実際の製造工程で海水は一切使われていません。使用されるのは通常の食塩と水、砂糖、コーンシロップ、バターなどのごく一般的な製菓材料です。
この奇抜なネーミングが誕生した舞台は、1880年代の米国ニュージャージー州アトランティックシティ。観光客で賑わうボードウォーク沿いでキャンディ店を営んでいた職人デビッド・ブラッドリーの店が、1883年に発生した大嵐による高潮で水浸しになり、売り物のタフィーがすべて海水に浸かってしまう事故が起きました。
嵐が去った後、店を訪れた少女からタフィーを求められたブラッドリーが、冗談交じりに「あるのはソルトウォータータフィー(海水タフィー)だけだよ」と差し出したところ、少女はその味を気に入り購入。店に居合わせた母親もそのキャッチーな響きを絶賛したことから、正式な商品名として看板を掲げたのが始まりとされています。単なるアクシデントから生まれた秀逸なネーミングが、140年以上経った現在もアトランティックシティ名物として全米に受け継がれています。