2002年7月27日、ウクライナ西部の古都リヴィウ近郊にあるスフニロフ空港(現・リヴィウ国際空港)では、ウクライナ空軍第14空軍軍団創設60周年を記念する大規模な航空イベントが開催されていました。晴天に恵まれた会場には、約1万人を超える家族連れや航空ファンが詰めかけ、華やかな祝賀ムードに包まれていました。
午後12時45分頃、観客の視線を集めて登場したのが、同国空軍のエリートパイロットチーム「ウクライアン・ファルコンズ」のベテラン操縦士、ウォロディミル・トポナリ大佐とユーリー・イェゴロフ副操縦士が搭乗する複座型戦闘機Su-27戦闘機(Su-27UB)でした。高機動性を誇る大型制空戦闘機が低空で繰り広げるアクロバットは、イベント最大の目玉となるはずでした。
しかし、低空での急降下を伴うロール機動(スプリットSに類似した旋回降下)に入った直後、機体は設計上の安全高度を大きく下回る危険な低空へと突入します。パイロットはエンジンの出力を急上昇させて機首を引き上げようと試みたものの、機体は失速状態に陥り、左主翼が滑走路脇の樹木と地上に駐留していた輸送機(Il-76)の機首をかすめるように接触しました。
制御を完全に失った機体は地面に激突しながら猛烈な速度で回転し、有刺鉄線の柵をなぎ倒しながら、満員の観客エリアへとなだれ込みました。機体は燃料を満載した状態で爆発・炎上し、現場は黒煙と猛火に包まれました。地上にいた観客のうち77名が即死または搬送後に死亡、重軽傷者は543名に達するという、リヴィウ墜落事故の凄惨な結末を迎えたのです。