宮ヶ瀬虹の大橋に設置されているフェンスの最大の目的は、深刻化していた飛び降り自殺の抑止および転落事故の防止です。
橋が開通し、宮ヶ瀬ダムの運用が本格化した1990年代後半から2000年代にかけて、人里離れた立地と橋の圧倒的な高さ(湖面まで約70m)が災いし、悲しい事案が相次ぎました。当時、通常の欄干の高さは約1.2メートル程度しかなく、大人であれば容易に乗り越えられてしまう構造だったのです。
これに対し、道路を管理する神奈川県や所轄警察署、地元自治体は事態を重く受け止め、以下の複合的な対策を段階的に実施しました。
- 乗り越え不可能な高尺フェンスの設置:大人の背丈を優に超える高さ約2.5メートル級の金網フェンスを歩道側に全面増設。
- 上部への返し加工:よじ登りを防ぐため、フェンス最上部に内側へ傾斜する「返し」を配置。
- 防犯カメラと緊急通報装置の導入:不審な停車車両や歩行者を検知するための監視体制を強化。
- いのちの電話相談案内板の掲示:橋のたもとや歩道沿いに相談窓口の連絡先を明記。
こうした徹底したハード面の改修により、近年における突発的な事故や事案の発生率は劇的に抑制されています。景観保護とのトレードオフではあったものの、人命を守るための不可欠な決断であったことが現場の構造から見て取れます。