オリーブアナアキゾウムシ(学名:Pimelocerus perforatus)は、体長12〜15mmほどのごつごつとした硬い甲虫です。地味な灰褐色の体表に小さな凹凸を持ち、樹皮に同化する擬態能力に長けています。興味深いことに、本種は外来の害虫ではなく、もともと日本の野山に自生するモクセイ科の植物(ネズミモチやトウネズミモチ、イボタノキなど)に寄生していた日本固有種です。
明治時代以降、日本へオリーブが導入された際、同じモクセイ科であるオリーブの柔らかな樹皮と豊富な栄養分を見出し、瞬く間に主要な寄主植物として適応しました。昆虫研究者や栽培現場の観察記録によると、野生のネズミモチ以上にオリーブを猛烈に好む傾向が確認されています。庭木として人気の高いシマトネリコも同じモクセイ科ですが、現場の調査データでは、オリーブに比べるとアナアキゾウムシによる食害リスクは比較的低く、圧倒的にオリーブへ集中することが分かっています。
さらに厄介なのが、オリーブアナアキゾウムシの生態と寿命です。一般的な甲虫が数か月の成虫期で一生を終えるのに対し、本種の成虫は2〜3年にも及ぶ驚異的な長寿命を誇ります。冬期は幹の割れ目や株元の落ち葉の下で越冬し、春になると再び活発に活動を開始します。
年間を通じたオリーブアナアキゾウムシの発生時期は、平均気温が15度を超える4月上旬から10月下旬まで続きます。成虫は交尾を繰り返しながら、4月から8月にかけて幹の地際付近の樹皮に小さな穴を開け、1頭あたり数百個もの卵を産み付けます。卵は1〜2週間で孵化し、幼虫は秋にかけて幹の内側を貪食しながら肥大化します。つまり、春先の産卵阻止と、初夏から秋にかけての幼虫早期叩きが防除の要となります。